放下師ほうかし)” の例文
特に「塩市」のにぎわい隣国に並びなきことと、町の催し、諸国から集まる見世物、放下師ほうかしたぐい、その辺についての説明はくわしいもの。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
辻博奕つじばくちだの、みだらな女たちの嬌笑きょうしょうだの、あかん坊の泣き声だの、放下師ほうかしつづみだの、そのほか識別しがたい臭気と物音が、耳の穴へ混み入ってくる。
密命をうけた彼ら二十人の家士は、笠売り、鏡研かがみとぎ、馬飼い、放下師ほうかしなどのさまざまに姿をやつして、鎌倉府内へ入りこんでいた。そして五月二日に事を決行したのだった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あははは」野盗の手下たちは、放下師ほうかしの道化ばなしでも聞くように、おもしろがった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)