支倉はせくら)” の例文
仙台の伊達政宗が支倉はせくらを船出させた牡鹿半島の月ノ浦というところは他日通商を開く場合にここを港と政宗が予定していたところで
安吾下田外史 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「この旦那はお前、支倉はせくらの野郎をとっ掴まえて下さるんだ。おや未だ笑ってやがる。手前達は支倉を知らねえのかい、あの悪党の支倉を」
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
なぞと太平の世の好いお爺さんになってニコニコしながら、それで居て支倉はせくら六右衛門、松本忠作等を南蛮から羅馬ローマかけて遣って居るところなどは
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
昔、伊達政宗が、支倉はせくら六右衛門をローマへ使者としてつかわす時分に、船出の港として選んだのがこの月ノ浦だ
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いったいここの藩祖政宗まさむね公というのは、ちょっとハイカラなところのあった人物らしく、慶長十八年すでに支倉はせくら六右衛門常長を特使としてローマに派遣して他藩の保守退嬰派たいえいは瞠若どうじゃくさせたりなどして
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
この年の十月には支倉はせくら常長たちをつれて日本を出発した。
鎖国:日本の悲劇 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
嘗て支倉はせくら六右衛門をローマへ伴ふた伴天連ソテロは日本人入満ルイス笹田を随へて潜入、直ちに捕へられて、二人共に火あぶり。
支倉はせくらと石子との距離は近づいた、と、支倉はヒラリと身を転じて一廻りすると、恰度石子と入れ交りになって、そのまゝ電車通りの方に駆け出した。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
政宗の支倉はせくら六右衛門の海外派遣も見透しの大失敗であった。だいたいに彼は海外事情について研究したことがないようだ。これがまた田舎豪傑たるところである。
支倉はせくらの家から荷物を積み出したと云う隣家からの報告を聞いて、根岸刑事は勇躍した。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)