擬装ぎそう)” の例文
新クレムリン宮殿は、突兀とつこつたる氷山の如く擬装ぎそうされてあった。中ではペチカがしきりに燃えていて、どのへやも、頭の痛くなるほどえくさかった。
満山に湧くせみの声も衰えた。薄明の中、私達は部隊に着いた。道から急角度にそそり立つ崖に、大きな洞窟どうくつを七つ八つも連ね、枯れた樹などで下手な擬装ぎそうをしている。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
しかしお前も、こんどというこんどは余程よほどりたと見え、屋上から、蜘蛛に見まがうような擬装ぎそうのマイクと高声器をつり下げて、わしに話しかけるなんて、中々機械化してきたじゃないか、はははは
重要書類を沢山の潜水艦に積んで、無人島にある秘密の根拠地に避難させたり、移動用の強力な無線電信局を擬装ぎそう帆船はんせんえつけたりしてさ、一旦は本土を喪うとも、やがて又いきおいをもりかえして
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)