揖保いぼ)” の例文
風土記には揖保いぼ郡の処に記載されてあるが印南の方にも同様の伝説があったものらしい。「会ひし時」は「相戦った時」、「相争った時」という意味である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
この日ごろから、すぐそこらの揖保いぼ飾磨しかまの山々も、白い雲か霧かの中に、漠々ばくばくと、見えなくなった。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
播州揖保いぼ郡黒崎の荒神山に、萩原孫三郎の墓と伝うる古塚があって、石のほこらが安置してあった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
目録には、揖保いぼ郡福井、岩見、伊勢村の内にて——と地行割も指定してある。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西播怪談実記せいばんかいだんじっき』という本に、揖保いぼ新宮しんぐう村の民七兵衛、山にまき採りに行きて還らず、親兄弟歎き悲みしが、二年を経たる或る夜、村のうしろの山にきて七兵衛が戻ったぞと大声に呼ばわる。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)