打勝うちかっ)” の例文
だが、ウトウトと夢見心地になって行くわしの心を、パッと打ちますものがあった。わしの復讐心が、きわどい所で、美女の誘惑に打勝うちかったのだ。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
岡田は、ヨロヨロと椅子から立上って逃げ出し相にしたが、やっとの思いでおのれ打勝うちかった。彼はグッタリと椅子にくずおれた。一瞬間にゲッソリとこけた土気色の頬。すすり泣きに似た烈しい呼吸。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)