扇形あふぎがた)” の例文
「俺は痣の熊吉の押込んだ家といふのを、江戸の繪圖面に印を附けて見たが、不思議な事に本郷を眞ん中にして扇形あふぎがたに擴がつてゐる」
銭形平次捕物控:124 唖娘 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
そして今日こそ子供らがみんな一緒に旅につのです。お母さんはそれをあんまり悲しんで扇形あふぎがたの黄金の髪の毛を昨日までにみんな落してしまひました。
いてふの実 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
五六丈の幹の上に芭蕉に似た葉を扇形あふぎがたに三十五六えふも並べて直立して居る扇椰子あふぎやし、滴る様な血紅色けつこうしよくをした椰子竹やしちくの一種、紅蜀葵こうしよくきの様な花を榎の様な大木に一ぱい附けて
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
或樹あるき扇形あふぎがたの騎士のかぶとかぶ
南洋館 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)