戸籍謄本こせきとうほん)” の例文
それに相槌あいづちを打つと、母はここぞとばかりに持って来ていた私の父の戸籍謄本こせきとうほんや系図の写し見たようなものを見せて、私の家が
「それから……これも余計な差し出口ですが、品夫さんの戸籍謄本こせきとうほんは取って御覧になりましたか?」
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それ以外に何の意味を持つものでないとさとった氏は、一枚の履歴書と学校の辞令と、戸籍謄本こせきとうほんとそれから空の蟇口がまぐちとをポケットに入れて、とにかく前へ前へと足を出した。
地図にない街 (新字新仮名) / 橋本五郎(著)
その中には、貯金帳や、戸籍謄本こせきとうほんらしいものや、かびの生えた写真や、其他そのた二三冊の絵本などが入っていたが、わしが横瀬の前へ取出したものは、手文庫の一隅いちぐうに立ててあった二〇㏄入いり硝子壜ガラスびんだった。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)