戞々かつ/\)” の例文
急に、皆が静かになつたかと思ふと、戞々かつ/\たる馬蹄の響がして、霊柩を載せた馬車が遺族達に守られて、斎場へ近づいて来るのだつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
夢に球と球と相触れて戞々かつ/\と響く音に耳を襲われ、驚きめてかしらあぐれば其響は球の音にあらで外より余が室の戸を急がわしく打叩くにぞありける
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
外には沒落の嵐吹きさみて、散り行く人の忙しきに、一境げきとして聲なき墓門の靜けさ、鏘々として響くは松韵、戞々かつ/\として鳴るは聯珠、世の哀れに感じてや、鳥の歌さへいと低し。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)