憐憫あはれみ)” の例文
思ふに今日地上を歩むいかにかたくななる人といふとも、このときわがみしものをみて憐憫あはれみに刺されざることはあらじ 五二—五四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ひたひは低くて、顎が大きく突出してゐた。口と鼻は尋常にとゝのつてゐた。うすいまつ毛の下に、憐憫あはれみのない目がまたゝき、皮膚は黒く濁つてゐた、亞麻色あまいろに近い頭髮。
深き目つきに消ゆる日か、過ぎしその日か、憐憫あはれみ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
母たる者の子にいかめしとみゆる如く彼我にいかめしとみゆ、きびしき憐憫あはれみあぢ苦味にがみを帶ぶるものなればなり 七九—八一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
彼女の顏は私の間近かにあつた。彼女のおもて憐憫あはれみのあつたのを見た。そして、そのせき込んだ息づかひには同情が籠つてゐた。簡單な言葉の中にも、同じ鎭痛油ちんつうゆのやうなやさしい情が話してゐた。
この時こよなき憐憫あはれみの神と猛火のふところにうたふ聲我にきこえてわが心をばまたかなたにもむかはしむ 一二一—一二三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)