感染かぶ)” の例文
併しながら庄次はさういふ仲間と表面は甚だしい疎遠ちがいはなくてもそれに感染かぶれるやうなことは苟且かりにもありませんでした。
白瓜と青瓜 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まあ私は罐詰かんづめという形ね。岩谷もあの時分は何か少し感染かぶれていたようだわ。お前さえその気なら、話は後でつけてやるから、松の家へかえるなというのよ。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
感染かぶれる事の早い代りに、飽きる事も早く、得る事に熱心な代りに、既に得た物を失うことには無頓着むとんじゃく
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その物に感染かぶれて、眼色めいろを変えて、狂い騒ぐ時を見れば、如何いかにも熱心そうに見えるものの、もとより一時の浮想ゆえ、まだ真味をあじわわぬうちに、早くも熱が冷めて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
もっとも己も最近では若いものに感染かぶれて、だんだんそういうものの方が好きになった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
万事そうした気風で有てみれば、お勢の文三に感染かぶれたも、またいたも、その間にからまる事情を棄てて、単にその心状をのみたずねてみたら、恐らくはその様な事で有ろう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)