うれえ)” の例文
雨風のうれえのない、人目にかかるおそれのない、一晩楽にねられそうな所があれば、そこでともかくも、夜を明かそうと思ったからである。
羅生門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
人の父母としてその子の病身なるをうれえざるものなし。心の人にしかざるは、身体の不具なるよりも劣るものなるに、ひとりその身体の病をうれえて心の病を患えざるは何ぞや。
中津留別の書 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
孔子様は世の風俗の衰うるをうれえて『春秋』を著し、夷狄いてきだの中華だのと、やかましく人をほめたり、そしりたりせられしなれども、細君の交易はさまで心配にもならざりしや
中津留別の書 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)