恪守かくしゅ)” の例文
宣告の際に物優しい判事は獄則を恪守かくしゅして刑期のなかばを過したなら仮出獄の恩典に浴することも出来るということを告げたということである。
姑と嫁について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
日本の辺鄙へんぴ福岡地方の能楽を率いて洋風滔々の激流に対抗し、毅然としてこの国粋芸術を恪守かくしゅし、敬神敦厚とんこうの美風を支持したのは翁一人の功績であった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
宮内の命を恪守かくしゅして、先刻から昔の外濠、今は無名の流れのはとりに、老僕はただ一人、木の伐株きりかぶしりをかけていた。やがて老僕の眼の前に男二人女一人が現れた。
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
翁は単に稽古のみならず、楽屋内の礼儀にまでも到れり尽せりの厳重さを恪守かくしゅしていた。楽屋内で冗談でも云う者があると即刻に破門しかねまじき勢いであった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)