恪勤かっきん)” の例文
彼は殆んど城に詰めっきりで、殆んど夜と昼の区別なしに恪勤かっきん精励した。それは熱烈というより狂熱的であり、煩瑣はんさ論的にさえなった。
思い違い物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あの白皙はくせき人型の越後系のがっしりした、均齊きんせいのよく取れた骨格で、性格にも恪勤かっきんとか忍耐とか、どんな困難に遭遇してもたわまない強靱きょうじんさがあり
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ソノ人ニ接スルヤ温乎玉ノ如ク、子弟ヲ薫陶スルヤ極メテ厳正ニ、老ニ到ツテおこたラズ。福岡地方神社ノ祭能ヲ主宰シ恪勤かっきん衆ニ過グ。一藩人士翁ノ名ヲ聞キテ襟ヲ正サザルナシ。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
ましてや、長年恪勤かっきんを励んできた何のつみとがもないマジャルドーに向って、私の家へ出入りせずにもらいたいなぞとは、私のこの口からは何としても言い出しかねることであった。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
それから一年のち、又五郎は勘定役所での恪勤かっきんを認められて元締方の量目預かりにあげられ、その役を三年勤めた。
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
当然の事として見慣れていたくらい真剣に恪勤かっきんしたものであった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
恪勤かっきんというよりはばか律義とわらわれるくらい励み続けた。
足軽奉公 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)