御経おんきょう)” の例文
旧字:御經
御経おんきょうもんは手写しても、もとより意趣は、よくわからなかった。だが、処々には、かつがつ気持ちの汲みとれる所があったのであろう。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
推古すいこ女帝に講したまいし御経おんきょうときいたが、君とは、父法主ほっすでも、兄法主でもない人を指している。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
されば予が世尊金口せそんこんく御経おんきょうも、実は恋歌こいかと同様じゃと嘲笑あざわらう度に腹を立てて、煩悩外道ぼんのうげどうとは予が事じゃと、再々しざまに罵り居った。その声さえまだ耳にあるが、当の雅平は行方ゆくえも知れぬ。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ほほき鳥は、先の世で、御経おんきょう手写の願を立てながら、え果さいで、死にでもした、いとしい女子がなったのではなかろうか。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)