“御竹倉”の読み方と例文
読み方割合
おたけぐら100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
保吉やすきち四歳しさいの時である。彼はつると云う女中と一しょに大溝の往来へ通りかかった。黒ぐろとたたえた大溝おおどぶの向うはのち両国りょうごく停車場ていしゃばになった、名高い御竹倉おたけぐら竹藪たけやぶである。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ただ庭先から川向うを見ると、今は両国停車場りょうごくていしゃじょうになっている御竹倉おたけぐら一帯のやぶや林が、時雨勝しぐれがちな空を遮っていたから、比較的町中まちなからしくない、閑静な眺めには乏しくなかった。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
まだ月代つきしろもしない御竹倉おたけぐらの空をじっと眺めていましたが、やがてその眼を私の顔に据えると、低いながらも力のある声で、『どうもしない。一週間ばかり前に離縁をした。』
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)