庭苔にわごけ)” の例文
かつて人の足に踏ませない苑内えんないなので、ここの庭苔にわごけは実に眼醒めざめるばかり鮮やかであった。苔の香いというものを私はここで初めてせるほど知った。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鈴川主水はこの時初めて、庭苔にわごけの上へヘタヘタと坐り込んで、平次を拜むのです。
その声を、日吉は、頭のうえに聞いたまま、庭苔にわごけに、ひたいをつけて、縮まっていた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)