庚申講こうしんこう)” の例文
ある時この村へ一人の修験者が来ておって、庚申講こうしんこうに人々を招いた。それから先は例のごとくだが、この家の娘は比丘尼ながら、樹を栽え石を敷きいろいろと土地のためになっている。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
やがて近づいて来る庚申講こうしんこうの夜、これから五か月もの長さにわたって続いて行く山家の寒さ、石を載せた板屋根でも吹きめくる風と雪——人を眠らせにやって来るようなそれらの冬の感じが
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
実際また床の正面に絵像を掛け、堂々たる供物を上げ、また時々は庚申講こうしんこうなどのようにとなえごともあり祭のことばもある。いつからこういうふうに、特に十月を以て祭るという信仰が始まったものか。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
やがて村へは庚申講こうしんこうの季節がやって来る。半蔵はそのめっきり冬らしくなった空をながめながら、自分の二十五というとしもむなしく暮れて行くことを思い、街道の片すみに立ちつくす時も多かった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)