幾関いくせき)” の例文
片々に抑えて片々にはじく爪の、安らかに幾関いくせきを往きつ戻りつして、春を限りと乱るる色は甲斐甲斐かいがいしくも豊かである。聞いていると、あの雨をつい昨日きのうのように思う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)