“いくせき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
幾席33.3%
幾関33.3%
幾隻33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
森本に始まって松本に終る幾席いくせきかの長話は、最初広く薄く彼を動かしつつ漸々ぜんぜん深く狭く彼を動かすに至って突如としてやんだ。けれども彼はついにその中に這入はいれなかったのである。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
片々に抑えて片々にはじく爪の、安らかに幾関いくせきを往きつ戻りつして、春を限りと乱るる色は甲斐甲斐かいがいしくも豊かである。聞いていると、あの雨をつい昨日きのうのように思う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
村のとっつきの小さな波止場はとばでは、波止場のすぐ入り口で漁船がてんぷくして、くじらの背のような船底ふなぞこを見せているし、波止場にはいれなかったのか、道路の上にも幾隻いくせきかの船があげられていた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)