帆船ほまえせん)” の例文
余の乗り来りし帆船ほまえせんの燃ゆる火焔の消ゆるとともに、余はこの地球の果においてただちに凍死こごえしなん、いな瑠璃岸国の国王並びに勇士美人のごとく、一種異様なるミイラとなってむなしく残らん
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
幸いこの帆船ほまえせんには船底と甲板との間に、この昇降口一個あるのみなれば、ここぞ余のためにはサーモピレーの険要けんようとも云うべく、この険要破れざる限りは、余の生命続かん、生命のあるかぎりは
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
まったく近世においては見るあたわざる古代風の巨船なりき、思うに余の帆船ほまえせんと同じようなる運命にて、何時の頃かこの地球の果に押し流されしものならん、今は船中ことごとく氷にとざされて
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)