左様さい)” の例文
旧字:左樣
左様さいでございますか。』とか、繰返し/\教へるのであつたが、二人は胸の中でそれをねて見るけれど、仲々お吉の様にはいかぬ。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
左様さいで、ござりません。仁丹がうござりますやろ。」と夕間暮ゆうまぐれ薬箪笥くすりだんすに手を掛ける、とカチカチと鳴るかんとともに、額の抜上った首を振りつつおおきな眼鏡越にじろりとる。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
郷里くに言葉の『だすか。』と『左様さいでございますか。』とは、第一長さが違ふ。二人には『で』に許り力が入つて、兎角『さいで、ございますか。』と二つに切れる。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)