尺蠖しゃくとりむし)” の例文
瓜蠅、つゆ虫、ばった、足長蜘蛛、蚋、蚊とんぼ、尺蠖しゃくとりむし金亀子たまむし、羽蟻、蟷螂かままり、それ等の虫がそれぞれ枝と葉の宮殿のなかに休んでいる。
螽蟖の記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
尺蠖しゃくとりむし黄を食えばその身黄にあおきを食えばその身蒼しとあれば、動物の色の因をその食物に帰したのは東西一轍と見える。
尺蠖しゃくとりむしみたいな伸縮をしなくても、最初グッと一杯に引いて鐘を一方に傾けておき、その位置が戻らぬように腕だけを使って登ることが出来るだろうからね。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
……それはタッタ今、寝台からすべり降りたまんまジッとしていたものらしい。リノリウム張りの床の上に足のひらを当てて、尺蠖しゃくとりむしのように一本立ちをしていた。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
広い芭蕉の葉の上を、小さな尺蠖しゃくとりむしが歩きつつある。作者はこの事実に興味を覚えたので、外に何も隠れた意味はない。芭蕉葉の寸法を測るのだなどと解するのは、この句にあっては曲解である。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)