尖先きっさき)” の例文
「いやどうも無着の仏法を論じながらそんなに執着するというのは困ったものじゃないか」というと博士はその一言の尖先きっさきに打たれて捉えて居る手を放し歯を喰い縛って怒って居られた。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
数馬は柳生流の青眼、穂先と尖先きっさきが御互にピリピリ働いて、相手に変化を計られまいとする。二尺余りを距てて睨合っているが、槍の方から仕懸けて行くらしく時々気合と共に穂先が働く。
鍵屋の辻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
槍ヶ岳が一穂の尖先きっさきを天に向けて立っている、白山が殆んど全容をあらわして、藍玉のように空間につながっている、私は単なる詠嘆が、人生に何するものぞと思っている、また岩石の集合体が
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)