小頸こくび)” の例文
小頸こくびを傾けるようにして、「何でも三条とか、油の小路とか聴いたように思うけど、委しいことは、よう知りまへん」
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
女は、え? と聞き直すように小頸こくびをかしげて私のほうを見て、当惑そうに幽かに笑いました。聞えないのです。
風の便り (新字新仮名) / 太宰治(著)
「えゝ、子供は泣くでせうね。ほゝ。だけど凡そ怖いのとは反対よ。貴方、昔はさぞ立派だつたでせうね。ほんとにどんなに立派だつたでせう。今だつて貴方が其処に坐つていらつしやると何だか他の人達が貧弱で、見すぼらしくつて気の毒なやうですわ。だけど、」と君香は小頸こくび
電車を降りると柳沢は先に立って歩きながら小頸こくびを傾けて
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
旦那だんなが来ているのだろうか?」と、小頸こくびを傾けてみた。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)