小縁こえん)” の例文
向う前栽せんざい小縁こえんの端へ、千鳥と云ふ、其の腰元こしもとの、濃いむらさきの姿がちらりと見えると、もみぢの中をくる/\と、まりが乱れて飛んでく。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
女は歩いて往って見附みつけ障子しょうじを開けた。左側に小さな小縁こえんが見えてそこに六畳ぐらいのへやがあった。右側は台所になって、その口の処に一枚の障子があった。
雑木林の中 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
あとで、台所からかけて、女中部屋の北窓の小窓の小縁こえんに、行ったり、来たり、出入ではいりするのは、五、六羽、八、九羽、どれが、その親と仔の二羽だかは紛れて知れない。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)