小国おぐに)” の例文
旧字:小國
六三 小国おぐにの三浦某というは村一の金持かねもちなり。今より二三代前の主人、まだ家は貧しくして、妻は少しく魯鈍ろどんなりき。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
米沢の城下から北のかた二十里にして小国おぐにという町がある。ここは代官並に手代在番の処である。それからまた北に三里、入折戸いりおりどという戸数僅かに七軒の離れ村がある。
壁の眼の怪 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
その老婆は、蟹田村から更らに一里近く山手に入った小国おぐに村のものであった。私はこの老婆と、その一夜を炉端で明したのだが、老婆は、私を相手にさまざまの身の上話をした末に
茫然ぼうぜんとして後にはだんだん恐ろしくなり、引き返してついに小国おぐにの村里に出でたり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
三〇 小国おぐに村の何某という男、或る日早池峯に竹をりに行きしに、地竹じだけのおびただしく茂りたる中に、大なる男一人寝ていたるを見たり。地竹にて編みたる三尺ばかりの草履ぞうりぎてあり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)