小卓こづくゑ)” の例文
紳士はそれを聞くと、黙つて婦人を連れて窓際の小卓こづくゑに案内した。つくゑの上には真紅まつかな花が酒のやうな甘つたるい香気にほひを漂はしてゐた。
わしはその帳面を小卓こづくゑの押匣へしまつておいたのぢや。そら、諸君も御存じぢやらう、あの、戸口を入つた直ぐとつつきの隅にある小卓こづくゑなんで……。
やがて彼女は白い湯気のぽうと立ちのぼつて居る洗面器を小卓こづくゑに乗せて入つて来た。そして温かいタオルを絞つて呉れた。そんな時私は他の患者達が眼を覚さないことを望んだ。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
ちやうどその時は、アデェルが私の手をとつて部屋をあちこち連れて歩いて、美しい本だの壁にとりつけた小卓こづくゑ小箪笥こだんすの上の飾物だのを見せてゐたのだが、私たちは素直すなほに主人の言葉に從つた。
丁寧な紳士が小卓こづくゑそばを離れようとすると、婦人は献立表を手に持つたまゝ、女王のやうな気取つた声で慌てて呼びとめた。
小卓こづくゑのところへ行つてしらべて見ると、どうぢやらう——くだんの帳面が半分くらゐの丁数になつてをるではないか! あとは残らず婆さんめ、肉饅頭ピロシュキを焼くたんびに
……ソフィーさまは小卓こづくゑに向つて、何やら縫物をしていらつしやる。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
「どこか窓に近い小卓こづくゑはありませんか。」