対向むこう)” の例文
旧字:對向
こっちで、ひしと女に寄ろうとする、私の膝が石のようにしびれたと思うと、対向むこうで松の幹を、少年がずるずるとすべって落ちた。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
中庭を隔てた対向むこうの三ツ目の室には、まだ次の間で酒を飲んでいるのか、障子に男女なんにょ二個ふたつの影法師が映ッて、聞き取れないほどの話し声も聞える。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)