寛仮かんか)” の例文
男子の遊蕩を寛仮かんかして妻妾の併存を認容するのも、男女道徳以上に血統を重視する家族制度の特権であるのです。
激動の中を行く (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
この必要条件を具備しない国家的保護と奨励とはなきにまさると寛仮かんかするよりも、むしろあるに劣る(もしそういう言葉が意味をなすならば)と非難する方が当然である。
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかるに従来は男子に対してそれが寛仮かんかされ、女子に対してのみ「女らしくない」という言葉を以て峻厳に批難されて来たのは偏頗へんぱ極まることだと思います。
「女らしさ」とは何か (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
軽侮を受けたのなら生徒の行為に斟酌しんしゃくを加える理由もありましょうが、何らの源因もないのに新来の先生を愚弄ぐろうするような軽薄な生徒を寛仮かんかしては学校の威信いしんに関わる事と思います。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二夫にまみえた女は地上到る処の帝王の家にもあった。女の再婚は大抵やむをえない事として現に寛仮かんかせられ、もしくは正当の事としてその父兄が強いるほどである。
鏡心灯語 抄 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
何人も甚だ遺憾ながら娼婦の存在を或程度まで寛仮かんかせねばならないことに一致するのである。
私娼の撲滅について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)