宿無やどなし)” の例文
そこで、セエラは帳場によりかかって、お天気の悪い日、ひもじそうな宿無やどなしの子を見たら、パンを恵んでやってくれと、頼みました。
そうしてその三人が三人ながら、宿無やどなしである。顔も洗わず朝飯も食わずに、雲の中を迷って歩く連中である。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
花弁はなびらが一輪ヒラ/\/\と舞込みましたのをお嬢さんが、斯う持った……圓朝わたくし此様こんな手附をすると、宿無やどなししらみでも取るようで可笑おかしいが、お嬢さんはほっと溜息をつき
恋に間隔へだては無いとは云え、此方こっち宿無やどなしの乞食も同様で、山𤢖やまわろの兄弟分とも云うべき身の上では、余りに間隔へだてが有り過ぎて、到底とてもお話にも相談にもなる訳のもので無い。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この小僧は宿無やどなしに違ないんだが、こんなに小さい、こんなに淋しい、そうして、こんなに度胸のすわった宿無を、今までかつて想像した事がないものだから、宿無とは知りながら
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)