宮苑きゅうえん)” の例文
山の花は誰の来訪も好んではいない。また宮苑きゅうえんに咲くことも欲しない。ましてとりでの石垣に——と正成はひそかに思う。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
およそ、宮苑きゅうえんや公卿の第宅では、管絃かんげんの音と歓酔のない夜はなかったが、地下人ちげびとのまた下僕たるこれらの人びとの中では、酒に会うことなど、まれであった。
そもそも、天皇は宮苑きゅうえんから一歩も自由には出られぬ籠の鳥とみていたのが大誤算だった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)