宍道湖しんじこ)” の例文
「陽気も陽気だし、それに、山に包まれているんじゃない、その市場のすぐ見通しが、大きな湖だよ、あの、有名な宍道湖しんじこさ。」
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大橋の上から見た宍道湖しんじこは、丁度ベニスのやうだなどといふ人もある。水の都、成程さうした処がある。
(新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
備後びんご入道とは、松江市から見て東南の空に起る夏の雲のことをいふとか。宍道湖しんじこのほとりでは、毎日のやうにその白い雲を望んだ。東京から二百三十三里あまり。私達もかなり遠く來た。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
寛文かんぶん十年の夏、甚太夫じんだゆう喜三郎きさぶろうと共に、雲州松江の城下へはいった。始めて大橋おおはしの上に立って、宍道湖しんじこの天にむらがっている雲の峰を眺めた時、二人の心には云い合せたように、悲壮な感激が催された。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)