奴僕しもべ)” の例文
土地のしゅうという家に一人の奴僕しもべがあった。ある日、たきぎを伐るために、妻と妹をつれて山の中へ分け入ると、奴僕はだしぬけに二人に言った。
フランチェスコは御空を仰ぎて、主よ、主の奴僕しもべはかくありぬ、かく貧しきが故にこそ世のあらゆるもろもろの御宝をも却つて主のごとく、この身ひとつに保ちまつる。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
自分の出たあとに夫の出たことを知らないので、妻は別に怪しみもせずにいると、やがて奴僕しもべが来て、旦那様が鏡をくれとおっしゃりますと言った。
主の奴僕しもべはかくありぬ、かく貧しきが故にこそ世のあらゆるもろもろの御宝をも却つて主のごとく、この身ひとつに保ちまつる、ありがたやハレルヤとぞ、涙ながしてりませば、雀もともに
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
平気でそこに移り住んで、奴僕しもべどもはみな門外に眠らせ、自分は一人の下役人と共に座敷のまん中に陣取っていた。下役人は勇悍ゆうかんにして弓をくする者であった。
彼は忠実な奴僕しもべのように次郎左衛門の前にひれ伏してしまった。
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)