女軽業おんなかるわざ)” の例文
この勧進元の女こそ、女軽業おんなかるわざの親方のおかくであります。ともかく、今度の興行には、有力なる金主か黒幕が附いたに違いない。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それと、面白いことは、神尾の前に晩酌のお相手をしているのが、勝沼の宿屋にいた、もとの両国の女軽業おんなかるわざの親方のおかくであることであります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お君も、米友も、ムク犬も、暫くはここの天地に生を寄せていたことがあり、女軽業おんなかるわざのお角の一行も、ここで笛、太鼓を鳴らしたことがありました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
また例の平沙ひらさの浦のいたずらな波がするすさびのように、女軽業おんなかるわざの親方の身体からだをでも、そっと持って来て、その辺の砂場へ捨てたのか、そうでなければ
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
両国橋の女軽業おんなかるわざの親方お角は、その夕方自宅へ帰って来ると、早くも家の様子でそれと知って、歯ぎしりをして口惜くやしがったのは申すまでもありません。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
雪にうもれんとする奥信濃の路とは違い、ここは明るい南国の伊豆、熱海街道の駕籠かごの中に納まって、女軽業おんなかるわざの親方のおかくが、駕籠わきについている、いつも
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
今日の道庵の猫撫声ねこなでごえが大へんに気味が悪いのです。米友にとっては、女軽業おんなかるわざのお角というものが苦手であるとは違った呼吸で、この道庵もまた苦手であります。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
女軽業おんなかるわざのお角は、いつもと同じような水々しさと、そらさぬ愛嬌を以て、ここへ現われたのには、さしものお銀様にとって意外の限りでないことはありません。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ここまで教訓した信仰の鼓吹者は別人ならず、江戸の両国の女軽業おんなかるわざの親方、お角さんなのです。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こう言われてみると、その昔、女軽業おんなかるわざの一行のうちの人気者で、甲州一蓮寺の興行から行方不明になった、力持のおせいさんという者があったことを、知る人は知っている。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
両国の女軽業おんなかるわざの一座に出ておいでなさるということですから、こちらの太夫元に、もしお心当りがございましたら、早速お引取りにおいで下さるようにと、こういう使の趣で
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ぜひなく両国の女軽業おんなかるわざの親方お角のところへ無心してやろうかとも思いました。あの女ならば話がわかる。頼みようによっては一肌も二肌も脱ぐ女だが……どうも現在では考え物だ。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ついつくろい切れなくなって、女軽業おんなかるわざの一座を引連れて、甲府の一蓮寺で興行したことから、このごろ再び両国で旗上げをするために、実はこの房州の芳浜というところに珍しい子供がいるそうだから
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「お前、知ってるだろう、両国の女軽業おんなかるわざの親方のお角さんのことさ」
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その見世物小屋というのは、過ぐる時代に、珍らしい印度人の槍芸やりげいのかかった女軽業おんなかるわざの小屋で、その後一時は振わなかったのを今度、再びこの山神奇童が評判になって、みるみる人気を回復しました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)