契機けいき)” の例文
個々の要因や契機けいきをとらえて、それが発生する以前には全然国家はなく、それ以後だけに国家があるというようにいうことはできない。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
忠利と彼とが百年の知己の如く結ばれた契機けいきというのも、武蔵が抱いていた多年の志望がこの英君の認める所となった点にある。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中世の封建的な等族とうぞく国家でも、民族意識が現実の力を持つ契機けいきはなかったので、中世の神聖ローマ帝国や封建的身分社会が崩壊したあとで
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
なお、かえりみて東国をながめると、北条氏政のむすめと武田勝頼のあいだに婚姻が成ったのを契機けいきとして、新たに甲相二国の同盟どうめいがむすばれんとしているではないか。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
社会制度や人間生活でのいものも悪いものも一切を含めて、宿命的な法則の現れとみるべきで、それなら社会改革を要請する契機けいきなど、どこからも生れる余地はない。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)