太閤様たいこうさま)” の例文
旧字:太閤樣
別にこれと云うわけもございませんが、ただあの大阪の御城を見たら、太閤様たいこうさまのように偉い人でも、いつか一度は死んでしまう。
仙人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
太閤様たいこうさま正成まさしげとどっちが偉いとか、ワシントンとナポレオンとどっちが強いとか、常陸山ひたちやまと弁慶と相撲すもうを取ったらどっちが勝つとか、中には返答に困らないのもあるが
中味と形式 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まず、この秋谷で、邸と申しますれば——そりゃ土蔵、白壁造しらかべづくりかわら屋根は、御方一軒ではござりませぬが、太閤様たいこうさまは秀吉公、黄門様は水戸様でのう、邸は鶴谷に帰したもの。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
太閤様たいこうさまは此処から茶の水を汲ませたものだ、と案内者の口まねをしつゝ、彼出張った橋の欄間らんまによりかゝって見下ろす。矢を射る如き川面かわづらからは、真白に水蒸気が立って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)