天海てんかい)” の例文
天海てんかいけあるいて来たなどとよく冗談をいっておられましたが——恐らくあのお方は、日本じゅうご存知ないところはございますまい」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが奇妙にも宗教心があって、天海てんかいだの崇伝すうでんだのというような、坊さんをそばへ集めたものだ。そうして真実キリシタンをも、信仰したということだ。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「太郎どの、わすれたか、おん身は拙僧のひざの上であそんだこともあるはず。——喜多院きたいん天海てんかいじゃよ」
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
花をさそう風は梢をさわがして、茶店の軒も葭簀よしずも一面に白い。わたしは悠然として心太をすする。天海てんかい僧正の墓のまえで、わたしは少年の昔にかえった。(明治32・4)
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
里見の天海てんかいたる丶大ちゆだいや防禦使の大角だいかくまで引っ張り出して幕下でも勤まる端役を振り当てたしたごしらえは大掛りだが、肝腎の合戦は音音おとね仁田山晋六にたやましんろくの船をいたのが一番壮烈で
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)