天使エンジェル)” の例文
口絵には紀元二百年ごろの楽聖がくせいセント、セリシアの像が出ていた。オルガンの妙音から出た花と天使エンジェルの幻影とを楽聖はじっと見ている。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
もしも私たちの信仰の眼が肉眼のように開いていたら、私たちを守っているたくさんの天使エンジェルが見えるでしょうに……。
私はまるで自分の肩にはねでも生えているように、浮きうきした心持ちで、教会の方へ軽く歩んでいました。まるで自分を天使エンジェルのように思うくらいでした。
けれども、貴様たちは一人だって、どれほどあの娘が天使エンジェルであるかってことは知るまい。俺は今日それを知ったんだ。この発見のお蔭で俺はこのとおり酔った。わかるか
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
今年の一月彼はある運動会で一少年を見た、その時のその少年の顔には愛の色みなぎり、眼には天使エンジェルえみ浮んでいた、彼は恍惚うっとりとして暫く吾を忘れ、彼の胸中に燃ゆるほのおに油をいだのである。
愛か (新字新仮名) / 李光洙(著)
彼はすべてのこのみにくい秘密は、世俗的の錯覚に過ぎないことを考えた。いかなる悪霧が彼女の周囲に立ちこめているように思われても、実際のベアトリーチェは神聖な天使エンジェルであることを考えた。
彼女は天使エンジェルか、悪魔デモンかでありました。おそらく両方であったろうと思います。たしかに彼女は普通の女から——すなわちイヴの腹から生まれたのではありませんでした。
彼女の美しい二つの手は天使エンジェルの手よりも透き通って、敬虔けいけんな休息と静粛な祈りの姿を示していましたが、その手にはまだ真珠の腕環がそのままに残っていて、象牙のようななめらかな肌や