大輪おおわ)” の例文
そのころは、タナゴ針といっても、大輪おおわの二厘ぐらいでけっこう釣りになった。この人はタナゴ針も自分でつくり直して使っていた。
江戸前の釣り (新字新仮名) / 三遊亭金馬(著)
尺八の穴みなビューッと鳴って、一角の大刀を大輪おおわに払うと、払われたほうは気をいらって、さっとそのさき足下あしもとからずり上げる。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大輪おおわの登山口に架した大輪橋の一名を登竜橋というも因縁なしとせぬ。三峰とは背中合せの丹波山村に飛竜権現社のあることも力強い暗示であると思う。
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
近々に学校で——やがて暑さにはなるし——余り青苔あおごけが生えて、石垣も崩れたというので、井戸側いどがわを取替えるに、石の大輪おおわが門の内にあったのを、小児だちが悪戯いたずらに庭へ転がし出したのがある。
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)