大厦高楼たいかこうろう)” の例文
旧字:大厦高樓
ここから見上げると、鰡八大尽の大厦高楼たいかこうろうは眼の前にそびえているのであります。道庵先生はそれを睨みつけながら
大厦高楼たいかこうろうを建てる奴、こいつが一番馬鹿者で、利口の奴は借家へ住む。そうして一番利口のお人は、自然と出来た木小屋へ住む。だからお前さん達モカ連が、一番利口者ということが出来る。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
陰惨な私娼窟からここへ来ると、ここはまるで大厦高楼たいかこうろうが立ち並んでいる印象だった。大名屋敷の式台みたいな、ぴかぴか光った板の間に、盛装をしたおいらんが商品見本のように立っている。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
寝屋ねやの屏風太鼓張たいこばりふすまなぞ破れたるを、妻と二人して今までは互に秘置ひめおきける古きふみ反古ほご取出とりいだして読返しながら張りつくろふ楽しみもまた大厦高楼たいかこうろうを家とする富貴ふうきの人の窺知うかがいしるべからざる所なるべし。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)