多武たむ)” の例文
例えば、「うち手折たを多武たむの山霧しげみかも細川の瀬に波のさわげる」(巻九・一七〇四)という、舎人皇子とねりのみこに献った歌までに寓意を云々するが如きである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
多武たむノ峯のうへに石垣をめぐらした観台たかどのをおこさうとされて、香具山の西からはるばるいそかみの山まで運河を切りひらき、舟二百隻に石材をつんで宮の山すそまで運んで来させた折にも
春泥:『白鳳』第一部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
舎人皇子とねりのみこに献った歌二首中の一首で、「捄手折」をウチタヲリと訓むにつき未だ精確な考証はない。「打手折撓うちたをりたむ」という意から、同音の、「多武たむ」に続けた。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
うちたをり多武たむ山霧やまきりしげみかも細川ほそかはなみさわげる 〔巻九・一七〇四〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)