夕餐ゆうさん)” の例文
五、六日つと、京橋采女町うねめちょうの松尾儀助氏から、幾日何時、拙宅にて夕餐ゆうさんを差し上げたく御枉駕ごおうが云々という立派な招待状が参りました。
料理は凝ったうまいものを食べさせた。二人は、白葡萄酒などを飲み、しばらくぶりで静かな夕餐ゆうさんをしたのであった。
リギ山上の一夜 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
なごやかな夕餐ゆうさんが済んで、やがて二人は涼しい夜を迎えた。晴れわたった夜空には月もなく、ただ銀河系の群星が暗黒な空間にダイヤモンドの砂を撒いたようにキラキラとかがやいていた。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
甚三郎は、いてお角にすすめて、一緒に夕餐ゆうさんの膳に向いながら
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
僕の友と一しょに夕餐ゆうさんをしたこともあった。世の人々は、この娘の素性などをいろいろ穿鑿せんさくせぬ方が賢いとおもう。娘の前を通りしなに、僕はちょっと娘と会話をした。
紙幣鶴 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)