増悪ぞうあく)” の例文
去年の夏からのわずらいがしだいに増悪ぞうあくするばかりで、すでに医師もみはなしていたし当人もすっかりあきらめていた、ことにゆうべはほとんど臨終かと思われ
日本婦道記:松の花 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
一日あるひ柏軒はこれを診して退き、「今日の御容態は大分宜しい」と云つた。然るにぢよの病は程なく増悪ぞうあくして死に至つた。是より正教は柏軒をうとんじ、柏軒の立場はすこぶる危殆きたいに赴いた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)