“塹濠”の読み方と例文
読み方割合
ざんごう100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いきなり傍の塹濠ざんごうの中から、真黒に日焼けして眼ばかりぎよろつかせてゐる兵士が二三人、ぱつと躍り出して、銃を低く伏せたまま、まつしぐらに走り去つた。
少年 (新字旧仮名) / 神西清(著)
加うるに南軍は北軍の騎兵の馳突ちとつに備うる為に塹濠ざんごうを掘り、塁壁を作りて営とすを常としければ、軍兵休息のいとますくなく、往々むなしく人力をつくすのうらみありて、士卒困罷こんひ退屈の情あり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
午後は又一君の案内で、アイヌの古城址こじょうしなるチャシコツを見る。㓐別川りくんべつがわに臨んだちょっとした要害ようがいの地、川の方は断崖だんがいになり、うしろはザッとしたものながら、塹濠ざんごうをめぐらしてある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)