基氏もとうじ)” の例文
かと思えば、高度の大熱に、こんこんとして、「基氏もとうじか、何しに来た?」と譫言うわごとに言ったり、また「筑紫つくしはどうした、義詮よしあきらはまだ返らんか」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
登子とうこは、先年、男子の基氏もとうじを生み、この春には女子の鶴姫を生んでいた。初めての女の子である。尊氏はこの鶴姫が可愛くてならず、朝のいちどは、かならず乳の香のするここを覗く。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)