埋火うもれび)” の例文
「旦那樣が立たれた後へ、何心なく入つて參りますと、檜木樣は煙草盆を引寄せて、埋火うもれびを掘り返してお出でになりました」
埋火うもれびかすかになり行けり。
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
でも、あの女にもまだ、あ、あ、神樣は、埋火うもれびほどの人の心を殘して置いて下すつたのに、私は、私は此手で、此腕で、あの女を殺してしまつたのです。
戌刻半いつゝはん(九時)頃部屋に落着いて、私はお茶を入れ、家内はいつもの寢酒を、埋火うもれびかんをして、五勺くらゐ呑んだやうであつたが、急に苦しみ出して、おびたゞしく吐血した——
「この頃の陽氣でございます。埋火うもれびの煙草盆を一つ置いてあつただけで」
埋火うもれび乍ら、銀の棒は直ぐ温まって、手を触れられない程になります。
地味な身扮みなりですが、何處かに赤いもののチラ付くのも、埋火うもれびをかき起したやうな魅力で、第一、部屋の中が若い女の膚に温められて、ホンノリ匂ふのも、八五郎をクラクラとさせずには措きません。