土耳古帽トルコぼう)” の例文
赤い土耳古帽トルコぼうをかぶって、隅っこにかたまって、ハーモニカを吹いているところへ、例の春日長次郎——広袖の縫取りのある襦袢じゅばんとも支那服ともつかないものを着て
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
土耳古帽トルコぼう堤畔ていはんの草に腰を下して休んだ。二合余も入りそうな瓢にスカリのかかっているのを傍に置き、たもとから白いきれくるんだ赤楽あからく馬上杯ばじょうはいを取出し、一度ぬぐってから落ちついて独酌どくしゃくした。
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
女がひょいと顔をそらしてひさしへうつむくと、猫が隣りから屋根づたいに、伝うのです。どうも割合に暑うごすと、居士は土耳古帽トルコぼうを取って、きちんと畳んだ手拭てぬぐいで、汗をきましたっけ。……
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)