土崩瓦解どほうがかい)” の例文
私はそう気付くと同時に、私の頭の中に築き上げられた推理の空中楼閣が、早くも根柢から土崩瓦解どほうがかいし初めたように感じた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
換え玉もやがて露見しよう。そうしたら内乱が起こるかもしれない。そうして彼女の勢力が、その彼女の留守の間に土崩瓦解どほうがかいするかもしれない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私はこれまでに随分長く、又随分多くさうした若い鍛練せざる心のつまづいたり、倒れたり、裏切られたり、空中楼閣のやうに土崩瓦解どほうがかいして行くのを見た。
エンジンの響 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
極端より極端に走る彼等列強の見解は、支那を以てもはや土崩瓦解どほうがかい拾収すべからずと思った。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
然れども世界に誇るべき二千年来の家族主義は土崩瓦解どほうがかいするをまぬかれざるなり。語にいわく、其罪をにくんで其人を悪まずと。吾人はもとより忍野氏にこくならんとするものにあらざるなり。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)