土壇どだん)” の例文
西塔はすでに崩壊して、わずかに土壇どだんいしずえを残すのみであるが、東塔はよく千二百年の風雨に耐えて、白鳳の壮麗をいまに伝えている。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
辺りが白みかけると、山田浅右衛門と二、三名が来て、かたの如く、死骸を土壇どだんにすえた。ゆうべの酔っぱらい浪人は、いつのまにか、消えていた。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それはそうであろう、伯耆の安綱ともいわれる刀で犬猫も斬れまいし、滅多に土壇どだん巻藁まきわらをやっても物笑い、それこそ宝として飾って置くが無事だわい」
成敗は牢内仕置場で執行される死刑の最も重いもので、刑場には三角形の「土壇どだん」を築く。
せいばい (新字新仮名) / 服部之総(著)
本阿弥ほんあみだの、徒目付かちめつけだの、石出帯刀いわでたてわきだのという連中が来てズラリと並び、斬り手の朝右衛門は手代てがわり弟子らと共に麻裃あさがみしもでやって来て、土壇どだんの上や試しの方式にはなかなかの故実を踏んでやることを