“四歳(しさい)” の例文
保吉(やすきち)の四歳(しさい)の時である。彼は鶴(つる)と云う女中と一しょに大溝の往来へ通りかかった。黒ぐろと湛(たた)えた大溝(おおどぶ)の向うは後(のち)に両国(りょうごく)の停車場(ていしゃば)になった、名高い御竹倉(おたけぐら)の竹藪(たけやぶ)である。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
昨十八日(五月)午前八時四十分(しじっぷん)、奥羽線上(おううせんのぼ)り急行列車が田端駅(たばたえき)附近の踏切(ふみきり)を通過する際、踏切番人の過失に依(よ)り、田端一二三会社員柴山鉄太郎(しばやまてつたろう)の長男実彦(さねひこ)(四歳(しさい))が列車の通る線路内に立ち入り
白 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
腰も若いもののようにまっ直(すぐ)である。しかしそう云う後ろ姿はなぜか四歳(しさい)の保吉の心にしみじみと寂しさを感じさせた。「お父さん」——一瞬間帆前船を忘れた彼は思わずそう呼びかけようとした。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)